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「吾唯足るを知る」【アニメワンピース新世界編へ】

Posted : 2011/08/23

  アクティブイノベーションウエスト代表弁護士の木下です。

   以前にもお話しましたが、私はワンピースという漫画の大ファンです(ワンピースの麦わらの麦わらのルフィは本当に海賊か?)。ワンピースの漫画は、現在後半の海である新世界編において、その最初に立ち寄った魚人島の物語が最高潮に達していますが、アニメの方はルフィとエースの少年時代の回想が終わり、いよいよこれから新世界編がスタートするところです。一昨日の放送で(地域ごとで放送の進度に若干の差があるようですが、私の住んでいる関西地区の放送です)、ルフィは兄エースが自分を庇って目の前で死んで行った現実を受け入れられなくて、悲しみに打ちのめされ、只々自分の身体を繰り返し傷つけては自暴自棄に暴れていました。そのルフィに噛みつかれたり蹴られながら、海峡のジンベエが「もう何も見えんのかお前には!!!」と必死でルフィに正気に戻るように説得します。「どんな壁も越えられると思うておった“自信”!!疑う事もなかった己の“強さ”!!!それらを無情に打ち砕く手も足も出ぬ敵の数々…!!!この海での道しるべじゃった“兄”!!無くした物は多かろう。今は辛かろうがルフィ…!!それらを押し殺せ!!!」…と。
   そして、ジンベエがルフィの胸ぐらを掴んで懸命に説き伏せた最後の台詞…「失った物ばかり数えるな!!!無いものは無い!!!確認せい!!お前にまだ残っておるものは何じゃ!!!」。…素晴らしかったです。ルフィはこの言葉によって、ようやく我に返り、「仲間がいるよ!!!!」と泣きじゃくりながら、兄の死を乗り越えようと再び立ち上がります。ここに至るまで下がりっ放しだった大きなベクトルが、正に上昇に転じた瞬間であり、非常に重要なシーンでした。

   さて、実はこのジンベエの台詞こそ、私の座右の銘と同じものです。私の座右の銘は「吾唯足るを知る」です。
   これは京都の龍安寺に存在する「つくばい」に刻まれている言葉です。このつくばいは、中央の水穴を「口」の字に見立て、周りの四文字と共用し、「吾唯足知」(ワレタダタルコトヲシル)と読みます。お釈迦様が説いた「知足のものは、貧しといえども富めり、不知足のものは、富めりといえども貧し」という「知足」(ちそく)の心を図案化したもので、茶道の精神にも通じる仏教の真髄と言われています。もっとも、私は、仏教にも茶道にも通じているわけではないですから、「世の中にはどんなに頑張っても、どんなに願っても、時にはどうしても望み通りにならないこともある。されど人の欲望には際限がないのだから、どこかで満足することを知らなくては、いつまで経っても決して幸せになれない」とシンプルに解釈しています。

   私は、この言葉を一人の人間としてだけでなく、弁護士としても座右の銘と考えて、非常に大切にしているつもりです。
   我々の依頼者は何らかの不安を抱えていますから、弁護士としてその辛さを共有してあげて、優しい言葉で励ましてあげることは不可欠です。しかしながら、同時に我々の依頼者は興奮して周りが見えなくなっていたり、分別のある冷静な判断ができなくなっているときがありますから、時には叱咤激励のような強いメッセージで導いてあげることも必要です。人間という生き物は、そのような局面で「自分に無いもの」や「他人にあるもの」ばかりを常に数えたがる傾向があると思います。どうしても足し算よりも、引き算に支配されてしまう印象です。そのときに、発想を劇的に変えるこの言葉の効果は絶大だと感じます。私としては、ジンベエが狂乱のルフィを説得できたことも、あながち漫画の世界だけの話ではないと思っています。
   勿論、失ったものが余りにも大き過ぎて、この言葉がすぐには何の役に立たない人がたくさんいることも分かっています。私はそれでも、そのタイミングを間違えなければ、「吾唯足るを知る」の精神に触れることで発想を転換して、いつか多少なりとも元気になれるときがきっと来ると信じています。そのくらい、この「吾唯足るを知る」という言葉は奥深くて素晴らしいと思うのです。我々が現実に経験する中でよくある事例としては、遺産分割が多いです。自分はこんなに親の介護を頑張ったのに、どうしてあの兄貴が同じだけ貰えるんだとか、自分は自宅から国立大学に通ったのに、どうして東京の高額な私立大学に通ったあの妹が自分と同じだけ貰えるんだとか…釈然としない気持ちになるときはありますし、争う必要があるときもあると思います。しかし、どこかで満足しないとキリがないことも事実です。そんなとき、友人の親は財産どころか借金だけ遺して亡くなったらしいなとか、そもそも遺産云々以前に、親がいない子供もいるのに、自分たちの親は遅くまで頑張って働いてくれて、僅かでも財産まで遺してくれたんだな、ありがたいなと、ちょっと考え方を変えられかどうかのスイッチが、「吾唯足るを知る」だと思うのです。

   もとより、依頼者の方が迷われているからといって、弁護士として早々にこれを押し付けることは良くないですが、幸せな方向に少しだけ考え方を変えるアドバイスの隠し味として、私はこれからもこの座右の銘を心に持ち続けると思います。人生を代わってあげることはできないですが、これからも、押し付けにならずに良いタイミングで、この発想の転換の大切さを上手く伝えてあげて、一人でも多くの人が少しでも安らかな気持ちで紛争を終結できるきっかけとなれるように、弁護士として精一杯依頼者に寄り添うつもりです。




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