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ご主人様の命令には絶対服従か?【メイド喫茶でわかる労働基準法】

Posted : 2011/06/08

  アクティブイノベーションウエスト代表弁護士の木下です。

   「もしドラ」と同じライトノベルの「メイド喫茶でわかる労働基準法」という書籍が人気のようなので、読んでみました。
   弁護士として真面目に感想を述べると、不当解雇されたお客さんのために、メイドさんが会社に乗り越んで人事部と交渉するなど、ストーリーにはかなり無理がありましたが、気楽に読めますし、労働者の立場から役立つ情報も多いので、興味のある方は読まれるとよいと思います。

   もっとも、私はメイド喫茶に行ったことがなかったので、細かい部分が分かりにくいなぁと思っていたところ、先日東京に出張したときに、秋葉原で仕事が終わりました。翌朝も東京で仕事があり、その日は宿泊でしたし、秋葉原で降りるのは久しぶりだったので、食事をしようとブラブラしていたら、駅前でメイド喫茶ならぬメイド居酒屋の看板が目に留まりました。先程の書籍のディテールが気になっていたので、一度見ておきたいけど、メイド喫茶は入りにくいなぁと思っていたのですが、メイド居酒屋ならハードルが低く感じました。そこで、いずれにしても食事をしないといけないし…と、呼び込みをしているメイドさんに応じて、入店してみました。
   まず、勝手にメイドさんの写真を撮らないなどの注意事項を説明されてから、彼女ら曰く、「夢の国」の扉が開きました。座席に案内されて、メニューを見せてもらうまでは普通でしたが、いざ注文するときになって、飲食物以外のオプションが付いたセットメニューを熱心に勧められました。特に、500円でメイドさんと一緒にポラロイド写真が撮れるオプションには、かなりの力の入れようでしたが、食事だけで十分だからとあっさり断ると、ご主人様は冷たいとか、変わったご主人様だと散々責められました。ちょっとうるさいので、代わりに300円でハズレなしのくじ引きが付いたセットメニューを注文することにしました。1等はメイドさん達によるオリジナルカラオケCDだと説明されたので、じゃあ1等は要らないなと思いながらくじを引きました。黙って引かせてくれたらよかったのですが、「皆さん、こちらのご主人様がくじ引きをされま~す♪」とわざわざ晒しものにされて、「何が出るかな~。何が出るかな~」と、メイドさん達の掛け声の中で、罰ゲームのような辱めを受けながらくじを引くと、4等の萌えバッジが当たりました。「萌え~」とだけ書いてある安物のバッジです。「これ、ハズレやん」と文句を言ったら、「ご主人様、400円相当の商品ですよ~◎」と満面の笑顔で言われたので、仕方なくお礼を言っておきました…(ちなみに、帰りにこのバッジを持ち帰るのを忘れかけたので、またひどく責められました)。
   一方、食事の方は、生ビールが600円なのはいいとしても、萌えオムライスが1400円と高額でした。これは、メイドさんが目の前でケチャップで絵を描いてくれる定番メニューらしいのですが、体験入店のメイドさんが描いてくれた猫が実に下手くそで、いびつなミュータントの猿みたいだったので、これに1400円はあり得ないなぁと思いましたが、また責められると面倒なので黙っていました。しかも、飲食物が運ばれてくる度に、毎回メイドさんと一緒に、「美味しくなぁれ、萌え萌えキュン☆」というおまじないをしないといけない仕組みらしく、一人で照れていると、こちらがかなり恥ずかしい状況に陥ります。で、ビールをお代わりしたときに、さすがにもう三回目のおまじないは要らないからと断ったのですが、「あり得ないですぅ」と、結局強要されました(メイドさん曰く、外国人客も多く、日本人よりもノリノリでおまじないを合唱してくれるそうです。外国人、恐るべしです)。
   大体システムは分かったので、40分くらいで、急いで退散してきました。気分転換にはなるし、好きな人が多いのも分かるのですが、私には落ち着かない「夢の国」でした。

   さて、ほとんどのメイド喫茶は、実は食品衛生法に基づいて、飲食店の許可だけで営業しています。
   しかしながら、サービス内容によっては、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(通称「風営法」)の許可が必要となるので注意が必要です。飲食関係の風俗営業は「客の接待をして客に遊興又は飲食をさせる営業」(風営法第2条1項2号)などで、ここでいう「接待」とは、歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすことです(風営法第2条3項)。具体的には、特定少数の客の近くにはべり、継続して談笑の相手になって、酒などの飲食物を提供する行為や客とともにゲームをする行為と考えられています。したがって、メイドさんを独占して話し込むとか、一緒にゲームをするサービスは風俗営業に当たる可能性が高いです。なるほど、先程のメイド居酒屋では、基本的に食事中メイドさんがかまってくれるわけでもなくて、風俗営業ではない感じでしたが、くじ引きの方は、もう少し盛り上げ方がエスカレートすると、ゲーム性が強く、風俗営業に該当する感じがしました。
   もし風俗営業に当たると、18歳未満の者に接待させることも、18歳未満の者を客として立ち入らせることも禁止されますから(風営法第22条2号、4号)、営業スタイルも変わります。普通の喫茶店には高校生も来店できるし、ウエイトレスとして働いている高校生もいますが、メイド喫茶のサービスが風俗営業に該当してしまうと、客としても、メイドとしても立ち入れなくなるわけですから、そんな店はメイド喫茶じゃない…という、ファンの怒りの声が聞こえてきそうです。
   結局のところ、アキバ系スタイルを維持するためには、ご主人様でも、メイドに対してお願いできないことの方が多く、近くで談笑させることや、ゲームをして一緒に盛り上がることすらNGなわけです。ご主人様も辛いところですが、風営法違反の摘発によって、メイドらしいキャラの若い女の子を採用できないとなると、お店にも常連客にも損失でしょうから、双方ともにルールを守って、楽しく遊びましょう…ということですね。




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