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弁護士業務の本質と未来について・後編~弁護士と営業~

Posted : 2015/01/06

 前回、弁護士業務は、結局のところ、職人的な請負に近いというお話をしましたが、そのような職人のニーズは限られているのに、急激に弁護士の人数を増やした司法改革は愚かな失敗でした。
 弁護士の数を増やして、世間の皆さんからのアクセスを簡便にするという考え方は間違っていなかったと思いますが、ゆっくりと時間をかけて増やすべきでした。一人前の弁護士になるには、やはり現実の紛争を通して実戦的な指導を受けながら実務経験を積むことが大切ですが、勤務弁護士を雇用して実務経験を積ませてあげようにも、勤務弁護士の急増に合わせて急激に仕事を増やすことは無理があるからです。

 この点、私が気になっているのは、事務所のベテラン弁護士が「営業」に専念して、受任してきた仕事を他の若手弁護士に任せる役割分担を徹底すれば、勤務弁護士の増加に合わせて受任事件を増やすことは可能だから、弁護士大増員は間違っていないという考え方があることです。
 たしかに、弁護士増に関係なく、受任事件数が減っていないベテラン弁護士はたくさんいますし、現実にこのような手法で集客している事務所もあるようですが、長い目で見て、私はこの手法には危うさを感じます。弁護士に対して委任を決めた依頼者は、その弁護士の能力、経歴、さらには人柄などを信頼して決断しているわけであって、決して同じ事務所の弁護士であれば誰が担当しても良いと考えているわけではないからです。このような依頼者と弁護士の認識のずれは、私自身が勤務弁護士として、事務所のボス弁護士が依頼された仕事を担当した経験や、反対に私が勤務弁護士を雇って、当初私が依頼された仕事を担当してもらった経験から感じるもので、最初に依頼された弁護士が適宜要所に上手く関与しないと、依頼者は少なからず不満でしょうし、そこで丸投げになってしまうと、弁護士の仕事の本質からは外れてしまうように思います(弁護士業務の本質と未来について・前編~複数の弁護士氏名の委任状の是非~)。
 要するに、弁護士の業務は、その性質上、仕事の依頼を受けてくる人と、その仕事を担当して、現実に解決していく人を分離することは、基本的に馴染まないということです。したがって、私は、個人的には、我々の業界でも頻繁に使用される機会が増えた、弁護士の「営業」という言葉が嫌いで、「営業」という言葉は弁護士には合わないと思っているので、私自身が「営業」という言葉を使うことはありません。「営業」という言葉の中には、主にひたすら広く事件を受任してくるところまでの仕事であって、受任後の事件担当は、その弁護士が最後まできちんと責任を持つかどうかは明確ではないというニュアンス(役割分担があって、他の弁護士が担当するかもしれない含みがあるニュアンス)を感じるからです。
 ただ、どこにどんな弁護士がいるのか、世間の皆さんに認知してもらわないと始まらないところがありますから、品位を保つ限り、ホームページは勿論、ラジオやテレビも含めて、弁護士の広告は良いと思います。これは、私が考える「営業」とは少し異なるもので、情報提供のための適度な広告までは良いのですが、そこから更に積極的に事件を掘り起こして、自分が担当できないような数の仕事を抱えて、他の弁護士に任せるのは、弁護士業務の本質に合わないように感じるということです。

 このように考えていくと、司法改革と共に弁護士の役割やイメージも変化していく中で、結局、職人的な弁護士の本質だけは不変のものとして残るように思えてなりません。自らの知識、経験、話し方や聞き方などの会話力、人柄、人格などの総合力を商品として磨いて、自分ができる範囲の仕事を職人として責任をもって全うする…これこそが最高の「営業」であって、遠回りなようで、それしか弁護士業務としての未来もないように思います。
 私は、勤務弁護士、複数弁護士による共同事務所、勤務弁護士を雇用しながらボス弁護士としての弁護士法人など、いくつかの形態の事務所での執務を経験してきましたが、やはり現在の単独での事務所経営が最も弁護士という仕事の本質には合っていて、依頼者にとっては安心で分かりやすいように感じています。
 少なくとも、それが現時点の私の答えとなっていますから、私があと何年弁護士を続けるかは分からないですが、現在の事務所形態で、職人としてどこまで総合的な技能を高められるかを意識しながら、私の弁護士業務としての未来を切り開いていくしかないだろうし、私はそのようにして業務を継続していくつもりです。

 さて、現在の私の弁護士観をもって区切りとし、当ブログは一度終了とさせていただこうと思います。
 法律ブログの作成は、自らの勉強になるだけでなく、職業日記のようなもので、自分の考え方の整理にもなるので有益でした。
 長年のご愛読、本当にありがとうございました。




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