全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

  1. ホーム
  2. 全国発リーガルジャパン弁護士ブログ
  3. 弁護士業務の本質と未来について・前編~複数弁護士の委任状の是非~

弁護士業務の本質と未来について・前編~複数弁護士の委任状の是非~

Posted : 2014/12/29

 既にお伝えしましたように、近くホームページを整理することに伴って、ブログも閉鎖させていただきますが(ブログ終了のお知らせ)、最後に私が考える弁護士像について、少しお話してみたいと思います。

 私は弁護士という仕事を始めて、20年ほどになるのですが、基本的にその仕事の本質は何も変わっていないと思っています。
 それは、弁護士という仕事は、ほぼ職人的な請負業の要素が強いということです。納期を決めて、一刀彫などの作品を彫刻家にお願いするイメージに近いです。したがって、同じ図柄の彫刻でも作者が変われば、作品の感じが変わるように、依頼者からすると同じ紛争でも、どの法律事務所の誰に依頼するかによって、かなり成果が異なる業務だと思います(彫刻なら素人的にも好みや感想を述べることができますが、専門的で弁護士が勧める方針に従属的になりやすいことを考えると、より成果が異なりやすいかもしれません)。これは単純に勝ち負けという結果もありますが、どれだけ納得感を得られるか、というプロセスも重要になります。
たとえば、裁判をするのに、期日の報告方法は弁護士ごとで同じではありません。今では期日報告書を作成して、書類で報告する弁護士が多いですが、昔は期日報告書など作成しないことは勿論、口頭でも、逐一裁判期日のやり取りを報告しない弁護士が多かったようです。
 ただ、それが一概に悪いとは限らず、「一度ワシに依頼したら、ちゃんと成果は出してあげるから、ガタガタ言わないで、ワシに任せとけっ!」という豪腕ぶりを頼もしく感じる依頼者もいます。また、専門的なことは分からないし、ストレスだから、毎回報告をされるのは煩わしい思う依頼者もいるでしょうが、反対に、自分の依頼している裁判の経過を知らせてもらえないなんて、とんでもないし、結果的に勝てば何でも良いわけではないという依頼者からすると、最悪の弁護士ということになります。
 要は、紛争の勝ち負けだけでなく、解決への進め方についても、自分が納得できる弁護士を見つけることが大切だし、そのことをよく認識されている依頼者も随分増えたように思います。

 この点、私には数年前に非常に印象に残った出来事がありました。
 私の事務所に来所された依頼者の法律相談を終えて、受任をすることになったのですが、定型の委任状を差し出したところ、署名押印することを渋っておられるのです。定型の委任状には、私も含めて事務所の所属弁護士全員の名前がずらずらっと列挙されており、私は特に気にも留めなかったのですが、依頼者の方はしきりに悩んでいます。
 私は、土壇場で弁護士に依頼する踏ん切りがつかないとか、もう少し他の弁護士のセカンドオピニオンも聞きたくて、委任状の作成を迷っておられるのかなぁと思って、尋ねてみたのですが、そうではなくて、依頼することは決めたのだが、委任する弁護士は、現実に相談をした貴方を希望しているのであって、私が会ったこともない他の弁護士にも委任することになるのですか?…私の事件は誰が担当してくれるのですか?という質問を受けました。勿論聴き取りをした私が担当することを説明しても、やはり面談すらしてない弁護士にも委任をする書類を作ることには抵抗があるとおっしゃり、結局個別に私宛だけの委任状を作り直すことになりました。

 私は、複数弁護士が所属する事務所に勤務したときから、そのような所属弁護士全員の氏名を羅列している委任状を取り交わすことが当たり前だと思っていましたし、たぶん多くの複数事務所は、今でもこのような定型の委任状を使用していることが多いと思うのですが、この相談者のご指摘は至極正当で、我に返らされるものがありました。
 その後、別の相談者からも同様のご指摘を受ける機会があり、私は、弁護士の常識が世の中の常識とは限らないことを痛感しました。

 余談ですが、こういう多数の弁護士が名前を列挙する古典的な委任状や訴状は、正直なところ、かなり時代遅れの悪習になっているように思います。
 既に説明したように、権利意識が高い最近の依頼者は、このような大袈裟に無関係の弁護士の氏名が列挙されている委任状を見て、たくさんの弁護士にサポートされていると勘違いして喜ぶほど甘くはなく、むしろ警戒される方がいますし、事件の中身すら把握していない多くの弁護士は、そのような名前だけ列挙したことで、共同受任として懲戒などのトラブルにはしっかりと巻き込まれる危険性があるからです。
 したがって、私は、やはり職人たる弁護士というものは、自分が把握もできていない事件の委任状などに名前を列挙すべきではないように思います。

 このように、依頼者側からみても、弁護士側からみても、弁護士業務というものは職人的な請負業であって、誰を見込んでその業務を委任するのか、また、誰が責任を持ってその業務を遂行するのかを、明確にする必要があるようにと思います。
 そのような弁護士業務の未来、特に業務の拡大や営業については、後編においてお話したいと思います。




↓ブログランキングに参加しております。 よろしければクリックをお願いします。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士
へ
にほんブログ村   人気ブログランキングへ