全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

サムライブルーの料理人

Posted : 2014/12/22

 先日、サッカー日本代表の海外試合の専属シェフで、福島のJビリッジなどで料理長をされている西芳照さんの講演があったので、聴かせていただきました。
 私は、昨年鹿島アントラーズのファン感謝デーであるオープンスタシアム以来、西さんにお目にかかるのは2回目でしたが、今回初めて西さんのお話をゆっくり聞かせていただきました。

 鹿島アントラーズの小笠原満男選手によると、西さんは、東京でお店をやらないか、スポンサーから引く手あまたの声がかかるほどの料理の腕をお持ちで、その方が遥かに収入も良いだろうに、震災後の福島の復興の力になりたいからと、あえて福島第一原発に近い故郷の双葉町にお店を構えておられます。
 西さんの著書「サムライブルーの料理人」を読んでいても、西さんの考え方は人に優しく、しかしチャレンジ精神に溢れていて、その男気が本当に格好いい方だと思います。

 さて、実に十数年間も、全く前例のなかった代表専属シェフという難しい仕事を任されて、今年のワールドカップブラジル大会を始めとして、これまでに何十回も海外遠征に同行されてきた西さんの講演を聴いていると、プロとは何かということについて、改めて考えさせられるものがありました。
 特別なことは何もしていない、とおっしゃる西さんですが、西さんが提供される食事には、どうしたら環境の変わる海外遠征で、しかもプレッシャーのかかる試合前や疲労困憊している試合後に、選手たちに美味しく食べてもらえるか、元気になってもらえるか、代表選手の力になれるか、そして、日本代表の活躍を楽しみにしているファンを喜ばせることができるか、という配慮が隅々まで行き届いています。
 例えば、西さんが信頼を得た仕事の一つにライブクッキングがあります。
 それまで全てビッフェ形式が当たり前になっていた中で、なかなか食が進まない選手を見て、極力出来立てほやほやの食事を提供するスタイルに変えたのですが、自由に食材が選べないアウェイの地で、日々普通に営業している現地ホテルの厨房を借りながら、限られた料理人の数で、多数の選手やスタッフのために出来立ての食事を作ること…それも栄養バランスが非常に取れていて、飽きがこない美味しい食事を3食ごとに提供することは、容易にできることではないようです。
 ライブクッキングを実現するためには、現地での粘り強い交渉や根回し、準備の段取りや手際の良さ、選手らの体調や気候などのコンディションを把握して、すぐに調整できる柔軟性など、実に細かなたくさんの気配りと作業が求められます。もともとサッカー協会から受けた要望は安全な食の確保であって、ライブクッキングなどしなくて良いのですが、それでは西さんにとっては不満足で、そのため西さんは、自分の休み時間や体力など、様々なものを犠牲にされて仕事をされます。プロの料理人としての自負が彼の妥協を許さないため、常に全力で選手のために取り組む姿勢に、西さんは、いつしか代表選手23名から、24番のユニフォームをプレゼントされる程の信頼を得たそうです。

 結局、西さんの仕事には、「プロとしての矜持」が溢れているのだと思います。
 どれだけ負担になっても、仕事のコンセプトを考えるなら、プロの料理人として、一つ一つが省けない大切なことばかりで、自分にとっては当たり前と考えていることを黙々と進める西さんは、プロとはどうあるべきかを教えてくれます。
 おそらく、そういうプロは、資格や役職などに関係なく社会の中にもたくさんいて、例えば「営業」という名のプロ、例えば「経理」という名のプロたちが各自の矜持を持って、自分なりに頑張っているんだと思います。
 私も自分が考える水準を大切にして、矜持を持ち続けなければいけないと、改めて感じました。

 ところで、西さんの講演後、カシマスタジアムで食事をいただいたことなどをお話できたのですが、西さんは大変喜んで下さりました。西さんの優しい人柄が伝わり、刺激を受けただけでなく、温かい気持ちにもなれた一日でした。
 やはり、私は、異業種のプロや一流の方のお話を伺うことが好きです。




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