全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

集団訴訟の長所と短所

Posted : 2014/11/18

 最近、大手美容整形医院の手術をめぐって、同種のトラブルが頻発し、集団訴訟が提起されているニュースを度々目にします。
 報道によると、東京だけでなく、広島でも複数の患者が協力して、集団訴訟を提起したそうですが、病院側は請求を争っていて、裁判は長引く模様です。

 実は、私もつい最近まで、東京地裁において、この件の医療過誤訴訟を扱っていて、今年の夏に和解が成立したばかりです。したがって、この報道については、私なりに思うところがあります。
 その中でも私が一番気になったことは、集団訴訟として華々しく報道されている、この訴訟形態の長所と短所について、原告となる患者さん達は、どれくらい理解して提訴に及んでいるのかということです。
 もちろん、各患者さんが受けた手術内容や請求の理由は全く同じではないでしょうから、単純に比較することが難しいことは分かっていますが、私は、集団訴訟には長所も短所も存在するため、何でも集団訴訟にすれば良いわけではないと思っています。

 集団訴訟は、医療過誤紛争や建築紛争、さらに最近では投資トラブルなどの案件で利用されることが多く、同じ被害者仲間が集まって、共に原告団を結成しますから、個人が一人で裁判を起こすよりも心強いですし、情報を共有できる長所があります。また、原告団で分担することで、訴訟にかかる弁護士費用などのコストを比較的安くできるメリットもあります。今回のようにマスコミが取り上げてくれれば、相手方にプレッシャーをかけることができて、それが解決に有利に働くかもしれません。
 ただ、このような集団訴訟の華々しさは諸刃の刃となることがあり、そうなると、相手方としても、金銭負担や社会的風評の影響が非常に過大になり、引くに引けなくなることから、徹底抗戦せざるを得ず、裁判が泥沼となることも少なくないです。そうすると、必然的に解決には時間がかかり、さらに控訴審や上告審まで長引けば、いくら原告団で分担できるとしても、追加コストも膨らんでいきます。しかも足並みが揃わなければ、原告団から脱退する人も出てきて、当初の予想よりも個々の負担が増えるかもしれません。したがって、この辺りの長所と短所を整理して、自分には集団訴訟が相応しいのか、よく考えて決めるべきだと思います。

 この点、私が担当した上記裁判は、集団訴訟ではなく、ある患者さんが単独で起こしたものですが、提訴して第一回裁判期日から、わずか3ヶ月ほどで話がまとまり、金銭的にも、私の依頼者としては十分納得できる和解が成立しました。これは、この患者さんが個人で提訴したから可能になったことであって、おそらく集団訴訟であれば、波及効果が余りにも大きいですから、これ程スピーディで合理的な解決はできなかったと思います。
 たしかに和解による解決ですから、病院側に落ち度があったと認定されたわけではなく、感情的に相手方となる病院の責任について、白黒はっきりつけたいという方には不向きです。また、もしかしたら、時間をかけて判決を得れば、より大きな金銭請求が認められたのかもしれません。しかし、患者さんによっては、これから何年も時間をかけて、大きなストレスを抱えて裁判を貫徹するよりも、相手方の責任は必ずしも厳格に追及しなくても良いし、多少損害賠償が減額されても構わないから、とにかく早く解決したいという方もいるはずです。そのような方には、集団訴訟よりも個人による訴訟の方が適しているときもあり、実際私の依頼者は、そのような考え方でしたから、このような早期解決を図ることができたことに、本当に満足されて、喜んでいただけました。

 結局、集団訴訟でしか実現できないたくさんの長所がありますから、私は、集団訴訟が悪いとは考えていませんが、光があれば影ができるように、長所があれば短所もあることを理解して、集団訴訟が自分のニーズに合っているのか、よく吟味してから訴訟形態も決めるべきだと思います。




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