全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

  1. ホーム
  2. 全国発リーガルジャパン弁護士ブログ
  3. 辛いダメージを乗り越えるために【大河ドラマ軍師官兵衛】

辛いダメージを乗り越えるために【大河ドラマ軍師官兵衛】

Posted : 2014/06/23

 大河ドラマ「軍師官兵衛」が非常に面白いです。
 数多の戦を無敗でくぐり抜けた黒田官兵衛の人生の歩みは、実にドラマ性に富んでいて、これまでテレビなどにおいて、主役として取り上げられる機会が少なかったことが不思議なくらいです。

 現在ドラマは、観るのが辛くなるような黒田家の危機を官兵衛らが切り抜けて、いよいよ後半戦に突入しましたが、官兵衛は約一年間に及ぶ土牢での幽閉によって、若くして脚に大きな後遺症が残ってしまいました。杖をついてびっこを引きながら歩く官兵衛の姿は痛々しく、特に戦国武将として生きるには致命的なハンディを負ってしまったと考えるのが普通です。
 主君が生きていたことを喜んで沸き上がる家族や家臣の気持ちとは裏腹に、「この脚では戦場で全く役に立たない」と、本人が悲嘆にくれるのも当然で、本来ならずるずると堕ちていくところを、竹中半兵衛の遺言となる軍配を継いだことから、今後は真の軍師として知力を尽くして秀吉に貢献していこうと決心する官兵衛は、戦国武将としては異色の魅力がありますし、その切り替えは本当に素晴らしかったと思います。

 ところで、弁護士の仕事をしていると、官兵衛のように、ある日突然大きな後遺障害を負ってしまったような依頼者の悩みを聞く機会はそれ程珍しいわけではなく、官兵衛の転機を観ていて、他人事のようには感じませんでした。
 私は、たくさんの事故系の損害賠償事件のご相談を受けて来ましたが、工場で指を切断した人や、交通事故で肩の可動域に制限がかかってしまった人など、皆さん様々な苦悩がありました。
 その中でも、一番大きな転機を迫られて、私が印象に残っている依頼者は、建設中のビルの13階から転落した作業員で、彼は事故当時まだ17歳の活発な少年でした。偶々未完成の途中の階の床に一度バウンドしてから落下したために、一命をとりとめただけでなく、奇跡的に頭をやられなかったため、すぐに意識を取り戻したものの、身体中のあらゆる骨折だけでなく、脊髄、内蔵の損傷はおびただしく、当初は生涯寝たきりの生活になることが確実視されていました。
 私は、事故直後に彼と病院で面会することになりましたが、抜け殻のような土色の顔には生気がなく、絶望に覆われた空虚な表情を見て、何と声をかけてあげたら良いのか、全くもって言葉が見つかりませんでした。いつ自殺してしまうかも分からないほど精神的に不安定なため、24時間態勢でご家族が付き添いについていましたが、高校生の頃、何の不自由もなく、スポーツや友達との遊びに走り回っていた自分が、ある日突然、この先ずっと寝たきりの生活になるかもしれないという現実に直面したら、どんな絶望的な気持ちになるのだろう…と考えると、想像しただけで苦しくなりました。
 結果的に彼は、家族の支えや自己の強さもあって、精神的な死の淵を乗り越えて、懸命のリハビリに励み、現在杖をついて歩けるほど驚異的な回復を遂げました。建設会社との損害賠償事件も、良い条件の和解で解決が成立し、勉強をしてこの先起業するほどに前向きに生きていますが、拾った命でこれからの自分に何ができるか、家族らとの対話を通じて、もう一度考えるきっかけを得たことから、分岐点となる切り替えができたそうです。
 なかなか簡単にできることではないのですが、竹中半兵衛の遺言しかりで、このちょっとしたきっかけや小さな支えが、重要なポイントになっているのだと思います。

 もっとも、我々の依頼者がダメージを受けているのは身体とは限りません。身体障害以外にも大きなダメージを受けて、再起が難しくなる人は多いです。
 家族を殺害された人は心の大きなダメージを負うし、破産によって経済的に大きなダメージを負う人もいます。それらの苦悩している人をサポートするのが弁護士の仕事です。
 辛さの受け止め方は人それぞれ違いますし、苦しむ本人に我々が代わってあげることもできませんから、軽々しい励ましの言葉をかけることにはとても慎重になりますが、たくさんの経験を重ねると、どういう言葉なら、その人が気持ちを切り替えるための小さな支えになるのか、だいぶ分かってきた気がします。

 私が「軍師官兵衛」が好きな理由は、その辺りの親近感を感じることにも理由がありそうです。
 絶望のどん底から立ち直った官兵衛の快進撃が始まります。今年の大河ドラマの後半戦は、本当に楽しみです。




↓ブログランキングに参加しております。 よろしければクリックをお願いします。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士
へ
にほんブログ村   人気ブログランキングへ