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「料理の鉄人」が思い出させてくれるもの

Posted : 2012/10/22

 東京事務所の木下です。

 今週金曜日から、フジテレビ系列で「アイアンシェフ」という番組が放送されます。以前、大人気で鉄人ブームの社会現象にもなった「料理の鉄人」の実に13年ぶりのリニューアル番組です。

 私にとって、「料理の鉄人」という番組は、とても思い出深い番組です。この番組の放送が開始されたのは、忘れもしない平成5年の秋…私が司法試験の口述試験を受験した時期に遡ります。今の司法試験からは姿を消しましたが、以前の口述試験は、文字通り設問を与えられて、2人の司法試験委員の先生から矢継ぎ早に出される法的な質問に対して、次々に口頭で答えなくてはならない過酷な試験でした。受け答え一つで展開はどんどん変わっていきますから、緊張感が凄いです。また、口述試験は、各地の論文試験合格者だけを東京に集めて、10日近くの長丁場に及び、特に地方からの受験者はホテルに長期連泊のほぼ缶詰め状態となって、最後の受験準備に没頭するため、その孤独感と精神的なストレスはハンパではない試験でした。天王山の論文試験よりは合格率は高いのですが、会話力やメンタルの強さも試される試験で、別の意味で難しく、正に司法試験最後の難関でした。

 そんなわけで、東京での口述試験を終えて、ようやく仙台の下宿先に戻った私も憔悴しきっていたのですが、何気なく深夜にテレビのスイッチをつけたところ、何だか見たこともない奇抜な光景が目に飛び込んで来ました。それが「料理の鉄人」との出会いでした。中世の欧州貴族のような派手派手しい衣装に身を包んだタレントの鹿賀丈史さんが、「私の記憶が確かならば…」という決め台詞を使って、仰々しく挑戦者となる料理人などの説明をした後、「蘇るがいいっ!アイアンシェフ!!!」と絶叫して合図をすると、競り上がりのステージから、カラフルな料理服をまとった和洋中の3人の鉄人が厳かに姿を現しました。「料理の鉄人」は、毎回挑戦者の料理人がこの鉄人の中から対戦相手を指名して、テーマ食材を活かした料理の美味しさを競う番組でしたが、私がたまたま見た回の挑戦者は周富輝さんでした。周富輝さんは、「炎の料理人」の異名を取り、CMでも人気を博した周富徳さん(海老のマヨネーズ炒め、いわゆるオーロラソースを考案した料理人とされているので、ご存知の方も多いと思います)の実弟で周兄弟は当時著名な料理人でした。この周富輝さんが、実にいい味を出していて、主宰の鹿賀さんが「さぁ、誰と闘いますか!?」と尋ねると、自分の顔をバシバシと叩いて気合いを入れた後、真っ赤な顔で「俺の相手は、道場だぁ~~~!」と絶叫して、和食の鉄人道場六三郎さんを指差して睨み付けました。次の瞬間、微動だにせず、それを睨み返す道場さんのアップ!そして、主宰の「アレ・キュイジーヌ!」というフランス語での掛け声とともに、初めて観る料理バトルが開始しました。当時、余りにも斬新だったプロットは衝撃的で、私は口述試験の疲れも忘れて、「えっ、これ料理番組?格闘技?何なんだ、これは…」と呆気に取られながら、テレビに見入ってしまったことをよく覚えています。

 ところが、派手なパフォーマンスや出で立ちとは別に彼らが作り上げる料理は、たしかに究極的に美味しそうで芸術的ですらあり、画面越しにも猛烈に食欲をそそられるものでした。
 大学を卒業後3年、実家には戻らないで、仙台の下宿で司法試験受験の浪人をしていた私は、当時結構な貧しい生活をしていました。お茶碗に一杯の卵かけご飯だけで一日の食事を我慢することはざらでしたし、肉なしもやし炒めや白菜だけのお鍋の自炊は定番メニューとなっていました。
 その少し後の放送で、当時のフレンチの鉄人石鍋裕さんが、大根の対決で、食材上圧倒的に不利という予想を覆して、実に鮮やかな料理を作って和食の挑戦者を破りました。私はそのときの料理に感動し、社会人として、しっかり自立できるようになったら、一度でいいから、こんな料理を食べてみたいなぁという夢を掻き立てられたものです。
 その後、定期的に「料理の鉄人」を観るようになって私が感じていたことは、超一流の料理人の段取りや手際の良さ、手さばきの鮮やかさ、そしてそのアイディアや引き出しの豊富さでした。一つの道を極めた職人の凄みというものは本当にリスペクトできることが多くて、「料理の鉄人」が人気番組になってゴールデンタイムに進出していったのと、自分が司法試験に合格して弁護士になり、法律家という職人として一つ一つ仕事を覚えていった時期がちょうど重なっていたものですから、目指す道は違えども、自分もこういうプロ中のプロのような専門家になりたいと大いに刺激を受けたものでした。彼らが納得いく美味しい食べ物を作って、それを食べたお客さんが喜んでくれる瞬間を生き甲斐としているように、自分も納得できるリーガルアドバイスや訴訟活動をして、お客さんが喜んでくれる瞬間を大切にしたい…これは私が弁護士を目指した動機でもあったし、「料理の鉄人」は、それを観る度に、私にそのような原点とも言える気持ちを思い出させてくれました。

 今、私は、司法改革の中で、弁護士がどんどん増える時代になったからこそ、弁護士の職人としての本質を痛感して、もう一度これに立ち帰った仕事をしなければならないと思っているのですが、私が司法試験に合格して弁護士になろうとしたときに、職人としての凄味を見せつけてくれた「料理の鉄人」が、このタイミングでリニューアルして再開することに、とても不思議なご縁を感じています。もう一度原点に戻って頑張ろうという気持ちになれます。
 そういえば、私の記憶が確かならば、鹿賀さんの役を引き継ぐ、新しい主宰は俳優の玉木宏さんらしいです。私は、「のだめカンタービレ」というドラマが好きだったのですが(全盲の方の逸失利益【BBCフィルハーモニック日本ツアー2011】)、特に玉木さん演じる千秋先輩の大ファンでしたから、私にとっては楽しみが増えました。今週末の第1回放送が本当に待ち遠しいですね。




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