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カルテなし薬害C型肝炎訴訟(続)

Posted : 2012/08/31

 札幌の猪原健弘です。札幌はお盆にビアガーデンが終了して以降,秋の気配へと思いきや,ここへきて気温30度に迫るような暑い日が続いております。なぜでしょう。

 さて,従前投稿した薬害C型肝炎訴訟についての続報です。
 C型肝炎患者を救済するための特別法「特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第IX因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法」(以下「特措法」といいます。) は5年間の時限立法であり,平成25年1月15日に特措法の期限を迎えることになっていました。
 そんな矢先,先般8月29日の朝日新聞において,特措法の期限を5年間(2018年平成30年1月15日)まで延長する改正案が衆議院厚生労働委員会で可決されたとの記事が掲載されていました。この特措法による給付金のスキームには,国だけでなく,製薬会社も出資していることから,特措法の延長は難しいであろうと思われていましたが,なんとか延長の方向の見通しとのことで喜ばしいニュースです。最近の国会情勢の大混乱から,最終的に確定するまで予断は許せませんので,確定情報を早く待ちたいと思います。

 なぜ延長する必要があったかというと,給付金の請求には患者は必ず訴訟を通じなければならず,その手続きが遅れていること,また,薬害C型肝炎患者のうち未請求の患者が多数いることがかねてから問題視されており,先般7月には,ほとんどの各社新聞に政府広報もなされたところです(目立たない記事で一部に批判が出ておりますが…)。
 【政府広報】http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201207/1.html

 しかしながら,詳細は確定した期限延長の改正法案の内容も確認する必要がありますが,特措法の期限延長が確定したとしても,安堵してはいられないかもしれません。
国との基本合意書(5(3)http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/01/dl/tp0118-1j.pdf)によると,特措法成立後3年以内の訴訟提起では消滅時効の主張をしないとされていますが,特措法成立後3年以降の訴訟提起では,消滅時効を主張することが可能とも読めます。抜け目ないというかなんというか。
 つまり,特措法ができた,請求ができることを知った,いろいろと家族や弁護士と相談していて時間が経過した,請求できることを知った時から3年経過以降にいざ訴訟提起をすると,特措法の期限前でも,国と製薬会社は,特措法の被害者救済の理念を反故にして,消滅時効を主張してくる可能性がありうるということになります。消滅時効とは,ざっくり言うと,確かに特措法に基づき請求する権利はありましたね,でも,あたなは請求できると知ってから3年間過ぎているので時間切れ,権利は消滅しています,患者さん敗訴ですよ,というものです。延長前の特措法の期限内の訴訟提起でさえ,上記の可能性がありますから,延長後の特措法の中ではなおさら国と製薬会社側が消滅時効の主張をし始める可能性がないとは言い切れません。

 したがいまして,いずれにせよ,C型肝炎に罹患して苦しまれている方は,一度早めに最寄りの薬害C型肝炎弁護団,あるいは最寄りの弁護士会に一度問い合わせをしていただいた方がよいと思われます。

 それにしても,C型肝炎の罹患は,原因行為から何十年も経過してから発症,判明することが多い一方で,カルテの保存期間は5年と法律で決められ,大多数のケースで廃棄されている状況です。仮にあったとしても,カルテにどこまで明記するかどうか,医療関係者の運用はバラバラであったようです。とりわけフィブリン糊(のり)として使用する場合は,医療関係者によると,薬というよりも接着剤という認識であり,なおさらカルテなどに書くことはまずない運用だったようです。また,執刀医はすでに死亡していたり,仮にご存命であったとしても,当たり前ですが,十数年前に執刀した当該患者の記憶などないことがほとんどです。
 議員立法による特措法とはいえ,法律の不備が露呈している現状がありますので,日本にいる何百万人のC型肝炎患者全体の救済となる立法が改めてなされることが望まれます。(といっても,みなさん選挙で忙しくなるのでしょうか…。)今後も,立法が動くくらいの訴訟活動に努めてまいります。

【厚労省】

http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/fivwakai/index.html




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