全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

障害者虐待防止法

Posted : 2012/08/09

札幌の塚谷です。今回は,近々施行される新法についてのご案内をいたします。

近年,障がい者に対する虐待がマスコミ等で大きく取り上げられるようになり,障がい者虐待に対する国民の関心が高まったことを契機として,障害者虐待防止法(正確には,「障害者虐待の防止,障害者の養護者に対する支援等に関する法律」です。)が成立し,今年の10月1日より施行されることになります。

この法律は,すでに施行されている,高齢者虐待防止法に似た規定になっており,運用についても相当程度類似する部分があると思われます。とはいっても,この高齢者虐待防止法についてもご存じない方が多いでしょうから,概要を説明する必要があります。

まず,本法の対象とする「障害者」とは,身体障害,知的障害,精神障害(発達障害を含む。)その他心身の機能の障害がある者で,継続的に日常生活等に相当な制限を受ける状態にある者,と定義されているように,広い意味での障がい者を想定しています。

そして,虐待をする側として想定しているのが,「養護者」(障害者を現に擁護する者),「障害者福祉施設従事者等」,「使用者」の3つです。

では,本法がこのような障害者の虐待について,どのように対処すべきと定めているかというと,簡単に言ってしまうと,虐待を発見した者に市町村や都道府県への通報義務を課して,市町村等が事実確認をして,適切に権限を行使する,というものです(使用者による虐待の場合,労働局が権限行使をします)。

この,適切な権限行使,というのは,非常に分かりづらいです。しかし,法律で明確に定めてしまうとかえって運用が硬直化してしまうので,このような裁量ある文言はやむを得ず,結局のところ,どのような仕組みを構築するのかという部分(障害者虐待防止のスキーム)が重要となります。そこで,国が想定しているのは,市町村職員や福祉関係者,さらには弁護士等の専門家が集まって対処策を検討するケース会議を開催する事です。このケース会議によって,障がい者対応の専門家が,多角的に当該虐待ケースの問題点や解決のための最善策を考えることができ,たとえば障害者を施設に入院させたり,養護者の負担軽減を図ったり,成年後見制度を利用したり,施設に対する事業停止命令を出したりすることができます。

すなわち,具体的な虐待ケースを単純に処理するというよりは,かかる虐待ケースをきっかけとして,今後当該障がい者をどのように扱うべきかであったり,当該施設をどのように改善すべきかであったり,養護者との関係を今後どうすべきかといったことまで含めて抜本的に解決することを目指しているといえます。

本法が施行され,実際にどのような仕組みをつくっていくのかは,今後の行政の仕事になります。私たちの仕事は,障がい者虐待を発見したときには通報義務があることを自覚して,障がい者虐待に敏感になることだと思います。

多くの虐待ケースが,本法の施行により解決されることを期待します。

 




↓ブログランキングに参加しております。 よろしければクリックをお願いします。

にほんブログ村 士業ブログ 弁護士
へ
にほんブログ村   人気ブログランキングへ