全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

労働審判について

Posted : 2012/06/26

札幌の柴田です。

会社を解雇されたり,会社が賃金や残業代を払ってくれなかったり,上司からパワハラを受けたりしたサラリーマンの方が,自分で会社と交渉するのは難しそう,でも訴訟を起こすのは大変そう,という場合に利用できるものとして,平成18年から始まったのが,労働審判という手続きです。

労働審判とは,審判官(裁判官)と労使双方の立場から選任された審判員2名の計3名で構成される労働審判委員会が,地方裁判所において,両当事者の言い分を踏まえて,調停(和解)や審判を行う手続きです。

労働審判のメリットは,まず訴訟よりも迅速な解決が見込めることです。期日の回数が3回以内とされ,また書面の提出は原則として第2回期日までとされているので,審判官らが,第1回期日から当事者の陳述を聞いて争点や証拠を整理し証拠調べをするなどして争点を確定する手続きが積極的になされます。平成22年の労働審判事件の平均審理期間は71.6日で,約70%が第2回期日までで終わっています。

また,審判官らが,両当事者の言い分を踏まえて事案に即した調停(和解)案を積極的に提示することにより,訴訟よりも柔軟な解決が図れるというのも,労働審判のメリットです。例えば,解雇された従業員が解雇は争いたいが会社には戻りたくない場合,会社側は解雇を撤回して解決金を支払い,従業員は合意退職する,といった内容の調停案が出されたりします。平成22年の労働審判事件のうち約70%が調停(和解)で終了しています。

申立て費用が訴訟の半分で,費用の負担が小さいのも労働審判のメリットといえます。

もっとも,期日が3回しかないことから,事実を認定するために多数の関係者の聴き取りが必要な事案や争点が複雑な事案など,審理に時間がかかる事案は労働審判には適しておらず,訴訟手続で争うべきといえます。

また,期日が3回しかないことから,第1回期日で審判官らの心証がかなり形成されてしまうので,第1回期日までに主張や証拠をしっかり出しておく必要があり,事前準備が勝負の分かれ目になります。

あとは,代理人(弁護士)を立てるかどうかも悩むところだと思いますが,申立人のうち82%は代理人(弁護士)を立てています。その理由としては,上記のように事前準備を充実させる必要があることや,労働審判が調停と審判の双方を含み,さらに審判に異議を出すと自動的に訴訟に移行するなど手続きがやや複雑であることなどが考えられます。

労使間の紛争を解決する手段の選択肢が増えたのは喜ばしいことですが,前述したように事案が複雑で労働審判に適さない事件もありますので,相談を受けた弁護士が手段選択の適否を的確に判断できるよう,各手続きをきちんと把握しておく必要があるといえます。




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