全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

生活保護費

Posted : 2012/06/22

札幌の猪原です。

 最近の生活保護費に関する一連のニュースを受けてかどうかはわかりませんが,区役所の保護課担当者が,理不尽な状況が生じているにもかかわらず,形式論を振りかざし,強気に対応してくる場面に出くわしました。
 当然ながら,生活保護制度を悪用して,不正に受給しようとすることはいけません。言語道断です。
 しかしながら,生活保護制度は,国が国民の最低限度の生活を保障する憲法25条にも由来するものです。働こうにも病気等で働けない状況にある場合,ある程度の年齢で離婚すると,女性側は働きたくてもなかなか職が見つからない場合など,生活保護に頼らざるを得ない場面では,利用できてしかるべきです。

 以前担当した刑事事件にこんな事件がありました。
 被告人は,コンビニでおにぎりとお茶を盗んでしまいました。本人は,体調が悪くなかなか働けない状況でした。自宅の電気,ガス,水もすべて止まっていました。
私はびっくりして,「冬どうやって過ごしていたの?」と聞いたところ,「布団を何枚もかけてしのぐんだ」と言っていました。聞く限り,自宅はゴミ屋敷状態であり,ゴミがたくさんあると少し部屋が暖かくなるそうです。
 私は,「なぜ生活保護を取らなかったの?」と聞きました。すると,「2回ほど最寄りの区役所保護課に行ったけど,働けるから無理無理と申請を受理してもらえなかった」とのことでした。

 そもそも申請不受理という概念はありません。申請してから必ず2週間以内に保護決定が下りるかどうか審査しなければなりません。おそらく保護課側は,不正受給を防ぐために水際作戦を励行されているのでしょうが,本当に不正受給をしようとしているのかどうか,申請者が本当に不合理な状況に置かれていないかどうか,お役所仕事ではなく,きちんと確認をしていただきたいところです。(場合によっては,規定の形式論だけでは,不合理な状況が生じてしまう場合もあるわけであり,その場合は,法律規則の不備なわけなので,役所も自発的に知恵を絞ってほしいところですが。)

 上記の被告人は,執行猶予判決後,そのまま一緒に区役所に行き,生活保護の申請に行きました。役所の担当者は弁護士が同行していることに不満そうでしたが,粛々と手続きがなされ,保護決定がおりました。私は担当者を見つめていただけでした。弁護士が同行しなければ保護決定がおりず,同行すれば下りたというのも,いったい役所は何を基準に審査しているのだろうかと疑問を持ちたくなってしまいました。

 ともあれ,不正受給はいけません。弁護士もそんな方を手助けはいたしません。ただ,本当に不正受給なのかどうか,本当に不合理な状況になっていないのかどうか,お役所さまはきちんと実態を見ようとしていただきたいと思っています。そうすれば,ときどき報道される餓死という悲しい事件も当然なくなることでしょう。この場合は,保護課と福祉課の縦割り行政という問題がこれまたありますが・・・。




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