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「ノーモア,映画泥棒」と叫ぶ全身タイツの方の話。

Posted : 2012/05/16

札幌の塚谷です。

ここ数年,映画の盗撮が増え,それに対して取締りを強化しようという動きがあることは,ご存知の方も多いと思います(映画上映前に,「ノーモア,映画泥棒」という表示とともにパントマイムしている全身タイツの方のおかげで)。

その取締りの重要なものとして,「映画の盗撮の防止に関する法律」という法律の制定があります(2007年8月30日に施行されています)。

それまでは,『著作物は,個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用することを目的とするときは』原則として著作権を侵害しない,という著作権法30条1項を盾にとって,盗撮がバレたときに,「自宅でもう一度鑑賞するためだ」,と主張する者がいました。その中には三脚で堂々と録画をするような輩もいたそうです。

しかし,かかる法律によって,映画館での盗撮については,著作権法30条1項の規定が適用されないことになります。要するに,私的な目的であっても禁止されるということです(なお,ここでいう「盗撮」とは,録画又は録音であり,写メールで静止画を撮る行為については対象としていません。もちろんやってはいけません)。

さて,現在,日本の著作権についての議論は,権利を守ろうという流れから,著作権を上手く利用しようという流れに移行してきているようです。それは,いわゆる「フェアユース」と言われる,公正な目的である限りは,許可なしで著作物利用を認めるという一般規定を導入すべきか,といった議論です(ちなみにアメリカでは1841年の判決により,フェアユースの考え方が確立されているようです!)。

この,現在の著作権に関する議論の流れと,上記「映画の盗撮の防止に関する法律」は,整合するのか,という点は問題にはなります。しかし,映画館での盗撮が著作権の適切な利用につながらないことは一目瞭然。そうであるなら,上記2つの一見相反する動きは,同一方向だともいえそうです。

全身タイツが何故パントマイムをする必要があるのか,という点はさておいて,彼の著作物を守りたいという願いは正当です。彼も,著作物が適切・公正な目的に利用されるのであれば,喜んで許可を得ずとも著作物の利用を認めるでしょう。

いずれ,日本の著作権に対する意識がより高まり,全身タイツの方が出るまでもなくなるといいですね。せっかくドキドキして上映を待っているのに,あれで雰囲気がぶち壊されるのはイヤですし。




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