全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

死後懐胎子

Posted : 2012/04/18

札幌の浦本です。

 先日,京都大学で,食品や医薬品の保存に使われるフリーズドライという方法を用いてラットの精子を5年間冷凍保存した後,雌を妊娠・出産させることに成功したというニュースがありました。精子の簡便な保存方法に結びつく成果であるとのこと。

 このような技術は,生殖補助医療に関しての画期的な技術であり,この技術によって救われる方がたくさんいらっしゃると思います。ただ,それと同時に,死後懐胎子(男性の死亡後,その男性が生前保存していた精子を用いて,女性が妊娠,出産することにより生まれた子)が生まれてくる可能性も高まるものと思われます。

 死後懐胎子についての法律は整備されていませんが,結婚していた夫婦の間での死後懐胎子について,妻が死亡した夫の子であることについて死後認知を求めたという事案については最高裁判決があります(最判平成18年9月4日)。

 判決の簡単な内容としては,「親子関係を認めるか否か,認めるとした場合の要件や効果を定める立法によって解決されるべき問題であるといわなければならず,そのような立法がない以上,死後懐胎子と死亡した父との間の法律上の親子関係の形成は認められない」というものでした。

 現在,死後懐胎子が生まれてくることは望ましいことではないという方向の議論があるようですが,現実に生まれてきた死後懐胎子について法律上どのような対応をとるべきかについては別の問題だと思われます。死後懐胎子の人数が少ないことや今後生まれてくる可能性がそれほど高くはないということは,この問題を放置していいという理由にはなり得ません。

 生命倫理の問題や生まれてくる子供の福祉など考えなければならないことはたくさんありますが,技術が進歩するスピードに負けない速やかな法整備を期待します。

 




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