全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

幸せな生活とは

Posted : 2012/03/26

元来重い花粉症,でも,札幌では花粉症に悩まされません。札幌事務所の猪原です。

小学校のころ,近所に養護学級に通う同級生がいました。同じ班だったので毎日一緒に通学していました。当時はよくわかりませんでしたが,今から考えると,ダウン症という知的障害だったのではないかと思います。彼には両親と弟がいましたが,大変明るく素敵な家族でした。

25歳のとき,中学校のクラス同窓会がありました。久々に再会した集団のなかに金髪で黒皮の上着に黒皮パンツ姿の友人がいました。目も異様に鋭かったです。だれか分からないくらいでしたが,一緒に小学校のソフトボールチームだった親友でした。うつ病と何かの精神疾患を患っているとのことで,少しよくなってきたから同窓会に参加したとのことでした。そのときの私はただただ彼の話を同窓会の間ずっと聞いてあげることしかできませんでした。お陰で他の友達とおしゃべりする時間はありませんでした。翌年彼は亡くなりました。自殺でした。

司法修習中,新潟県佐渡ヶ島の法テラスで,1週間過疎地修習を受けさせてもらいました。過疎地と聞いてイメージするとおり,高齢のおじいさんおばあさんが一杯でした。とあるおじいさんが,毎日のように法テラスにやって来て,泥棒にお金を盗られた,買った食べ物を盗られたなどと報告に来ていました。認知症でした。ヘルパーさんの話によると,おじいさんの家には腐った食材がたくさんあるそうです。医師を囲んで話し合いももたれました。その後も,おじさんは毎日元気にやって来ていました。

高齢者の場合は認知症が多いでしょうか。会話が明らかに成り立っているのに,実は重度の認知症ということが判明したことがあり,びっくりしたこともありました。障害者の場合は,身体障害,知的障害,精神障害,発達障害。例えば発達障害の中には学習障害,自閉症スペクトラム,ADHDなどさらに複雑です。私たちの身近には,高齢者のみなさんのほかに障害者のみなさんもたくさんいらっしゃいます。ただ,多くの人は気づいていないだけのようです。

私は,司法修習の卒業試験の勉強をしているころ,試験を終えたら発表まで何をしようか考えました。その結果,佐渡で目にした過疎地の風景から,高齢者のみなさんはどんな生活をしているのだろうか,高齢者のみなさんの生活はどうすれば分かるのだろうか,ホームヘルパーさんは高齢者のみなさんの身近な仕事をされており,少しは分かるのではないかと思い,ホームヘルパー2級,障害者ヘルパー2級の講座を申込みました。札幌に戻ってすぐ,おばさんお姉さんおじさんらに混じって受講しました。座学の模擬研修では利用者さん役,ヘルパーさん役に分かれて車いすからベッドへの移動,ベッド上で利用者さんをうまく移動させながらのシーツ交換,など大変でした。ニュースで言われている「褥瘡(じょくそう)」なんか意味を知りませんでしたし,そもそも読めませんでした…。

弁護士登録後,土日に実務研修がありました。グループホームでは,「お兄さんは,実家はどこなんだい?」「はい,岡山でして…」と会話をした5分後,「兄さんや,あんたはどこの生まれなんだい?」「あ,岡山なんですよ…」…その10分後も…。一緒にトランプもしました。訪問介護では,なんとか会話を探しながら,近所の散歩に同行したり,おせちシーズンだったため買い物に付き添ったり。デイサービスでは,「わしは陸軍やった。●●で△△を殺したんじゃ。ワッハッハ…」と繰り返されること数十回。浴場で転倒しないよう見守りつつ背中を流したり。短期間でしたが,高齢社会を迎えた日本のいまをほんの少しだけ垣間見ることができたように思います。札幌に限らず,この光景は全国津々浦々にあるわけです。

今,障害者問題の第一人者の先輩弁護士と一緒に,とある殺人事件の国選弁護人を務めています。被疑者の責任能力に疑義があり,現在鑑定留置中です。ここではあまり書けませんが,被害者はお父さんであるなどいろいろと悲しい事件です。まずは,正式に起訴されるのか,医療観察法の申立てがなされるのか。そもそも彼にとっての幸せな生活をどのように確保してあげればいいのか。

先日,実家岡山に立ち寄りました。93歳を迎えるばあちゃんは,肌ツヤよかったですが,私を「孫のタケヒロ」とはもはや認識できません。幸い病気を患っていないのですが,もし病気を患っていたら,「尊厳死」「安楽死」なんてお話も家族で話し合いがもたれることもないとは言い切れません。

大先輩であるおじいさん,おばあさんにとって幸せな生活とはどのようなものなのか。何らか障害のあるみなさんにとって幸せな生活とはどのようなものなのか弁護士はスーパーマンではありませんので,みなさんを幸せにしてあげるなんてことは言えません。ただ,みなさんに寄り添って歩き,みなさんの生きづらさを少しでも取り除く方法を一緒に考えていくことはできる,弁護士としてみなさんに役に立つ役割がある,そう信じて日々勉強中です。

札幌はこの土日も雪が降りしきりました。札幌事務所にも早く春よこい。




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