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ワンピースの麦わらのルフィは本当に海賊か?

Posted : 2011/03/07

 アクティブイノベーションウエスト代表弁護士の木下です。

 先日、NHKの人気番組のクローズアップ現代で、「“ワンピース”メガヒットの秘密」という特集をしていました。
 ワンピースは、おそらく今、日本で一番人気のある漫画で、先月には最新巻である第61巻のコミックが発売されました。累計発売数は2億冊を超えたそうです。
 以前、日経新聞のアンケートでも、大人が大人に読んで欲しいと思う漫画、男性部門、女性部門ともに第一位だったことからも分かるように、成人以上の読者層が9割近いそうです。
 SMAPの木村拓哉さん始め、芸能界にもたくさんの熱狂的なワンピースファンがいます。

 私も、2年ほど前から読み始めましたが、一気に大ファンになりました。
「ドラゴンボール」や「北斗の拳」に代表される、少年ジャンプお得意のアドベンチャー漫画や戦闘漫画は数多くありますが、「ワンピース」はその中でも、単なる冒険シーンや戦闘シーンだけでなく、感動的で涙する名場面が満載なことで有名です。
 ナミやロビンが本物の仲間になるシーンは本当に感動しましたし、ビビとのお別れは名場面中の名場面で、何回読んでも泣けてしまいます。サンジやチョッパーが麦わら海賊団に加わるシーンや空島シリーズのエンディングも大好きです。
 今、物語は大きな前半が終わってひと区切りがつき、ちょうど後半に入ったばかりです。まだまだ間に合いますから、まだお読みになったことがない方は、是非一度読んでみて下さい。

 さて、クローズアップ現代の中でも、子供がルフィのような仲間思いの人間に育って欲しいと願う母親とか、うつ病で出社できなくなり一度挫折したが、ワンピースに再び生きる勇気をもらったという中年男性などが登場していました。このように、ワンピースから元気をもらっている人々が多数いる一方で、主人公のルフィは、海軍と戦う海賊という役割であり、いわゆるアウトサイダーに当たると紹介されていました。
 たしかに本来海賊は悪者のはずで、改まって紹介されると、ここはちょっと微妙な部分でもあるんですが、海軍と戦うからルフィは海賊ということになるんでしょうか?
 そもそも、現代社会において、海賊なるものが存在し、何が海賊に当たるのか?海賊の定義はあるんでしょうか?

 実は、ご存知の方も多いでしょうが、海賊は決して歴史や漫画の中だけの存在ではないです。
 アフリカのソマリア沖での2009年の海賊事案は217件で前年の約2倍に増えており、全世界の件数の実に5割以上を占めていたそうです。つい先日もソマリア沖をヨットで航行中に海賊に乗っ取られ、人質になったアメリカ人4人が射殺されたというニュースがありましたが、今でも年間数十隻の船舶がハイジャックされ、数百人が人質になるようです。そして、このソマリア沖を通過する日本関連船舶は年間約2000隻、一日約5隻にもなりますから、日本にとっても他人事ではないのです。
  ところが、以前の日本には、公海上での他国による海賊行為を取り締まる法律がなかったため、2009年にようやく海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(通称「海賊対処法」)が成立して、海賊行為を処罰することが可能となりました。
 海賊対処法第3条では、海賊行為をした者に対して、無期又は5年以上の懲役に処すると規定されています。かなり重い罪に入ると思います。

 では、その取り締まる対象の海賊とは何を指すのでしょうか?
 これは「海洋法に関する国際連合条約」に、しっかりと規定があります。同条約第101条は「海賊行為の定義」というタイトルで、何が海賊行為に該当するかを明記しています。
 要約すると、海賊行為とは、私有の船舶等の乗組員等が公海上で、「私的目的」のために、不法な暴力行為、略奪行為をすることで、それをする人が海賊ということになります。
  先程の海賊対処法第2条においても、ほぼ同様の海賊行為の定義があります。

 この点、たしかにルフィは私有の船舶サウザンドサニー号で、広く公海を航行しています。
  しかしながら、仲間のロビンや兄エースの救出のために海軍本部などに殴り込んだことは別にして、それまでにルフィは「私的目的」のために、暴力行為を仕掛けたり、略奪行為をしたことはなかったと思います。ルフィが闘う理由は、基本的にいつも誰かを守るためですよね。したがって、ルフィは少なくとも最初から法律上の海賊に該当する存在だったわけではないと思います。
「私的目的」を持って略奪などをしないと、海賊行為に関する犯罪にならないわけですが、このような犯罪の類型を目的犯と言って、身の代目的誘拐の罪が有名です。単に人を誘拐するのと、身の代目的を持って人を誘拐するのとでは、犯罪類型が異なり、そのような目的がなければ、より重い刑罰のある身の代目的誘拐の罪は成立しないのです。
 もっとも、堂々と海賊旗を掲げて、「海賊王に、オレはなる!」と宣言するルフィが自称海賊であることに疑いはないです。海軍本部への殴り込み以前ならともかく、今や法律上も文句なしの海賊に該当するでしょうし、ルフィが自分の海賊性を否認して争えば、ちょっと面倒な海洋裁判とかになりそうですが、本人が認めている以上、やっぱりルフィは海賊として扱われるべきなんだろうと思います。
 私も、海賊の麦わらのルフィが好きです。ルフィが海賊として海軍と対決することに、何の異論もあるわけではありません。

 なお、クローズアップ現代の中では、「ワンピース」が大ヒットしている理由として現代の世相との関係が取り上げられていました。
 周囲との絆が薄くなり、夢が持てなくなり、やたらと建前ばかりに気を遣う現代社会において、そんな中でも①自分のためだけではなく、仲間や他人のために一生懸命頑張れることへの憧れ、②本気で夢を語ること、そしてそれを周囲が笑わない社会への憧れなどが、「ワンピース」大ヒットの理由だと分析されていました。
 我々の法人も、お客様のために一生懸命頑張るクライアント第一主義を掲げ、今よりも司法サービスが少しでも広く行き渡ること、風邪を引いたら普通にお医者さんに行って診てもらえるように、特別な紹介者などがいなくても、法律問題で困ったら気兼ねなく弁護士のアドバイスを受けることができて、多くの人が安心して暮らしていける世の中の実現を一つの目標にしています。
 そのような夢を語ることを憚らない我々の法人にとっても、ルフィと麦わら海賊団は一つの理想であり、目標なのかもしれません。

「弁護士王に、オレはなる!」などと大それた放言をするつもりはないし、勿論、そのような野心もありません(そもそも、何が弁護士王なのかよく分かりません)。
 しかし、夢や目標をしっかりと持って、それを照れずに堂々と語り、それを信じて追いかける…私も、その志だけはルフィに負けないように頑張りたいと思っています。




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