全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

代替物はないのだろうか

Posted : 2012/03/05

 札幌の浦本です。

 先日,奈良地裁で警察官が発砲し,警察官が殺人罪等に問われている付審判事件についての無罪判決がありました。

 私の地元での事件なので,気になった点について,少し感想を述べてみようと思います(刑事事件についての判決文を入手できなかったので,刑事事件について報道されている判決要旨と民事事件についての判決を前提に)。

 一つ目は,民事事件では警察官の未必的殺意が認定されていましたが,刑事事件では未必的殺意も認定されなかった点です。

 これは,民事事件で要求される立証の程度と刑事事件で要求される立証の程度が異なることから生じた違いと言えます。刑事事件において要求されている立証の程度はかなり厳格なので,そこまでの立証がなかったという判断なのでしょう。

 ただ,遮光フィルムが張られ車内の具体的状況を把握できない状態で,静止していない車に対して,至近距離から拳銃を発砲しているのであり,未必的殺意の認定も不可能ではなかったようにも思え,かなり微妙な判断だったのだろうと思います。

 二つ目は,この事件では警察官が合計8発もの発砲を行っている点です。

 この事実のみをみると警察官による発砲が多すぎるようにも思えます。

 ただ,民事事件の事実認定を見る限り,8発連続して発砲したのではなく,警察官が逃走車両を様々な手段で静止し,発砲を行っても逃走車両は一向に止まる気配がなく,常軌を逸した逃走行為を繰り返していたため,結果的に8発もの発砲に至ったようです。

 そうすると,発砲回数が8発と多いという点を捉えて,警察官の発砲が違法であった認定するのは難しいように思います。

 三つ目は,警察官が発砲に至るまでの経緯をおっていくと,警察官は逃走車両を静止するためにかなり謙抑的に行動しているように見え,そして,謙抑的に行動したが故に,結局,発砲せざるを得ない状況に陥り,発砲により人を死に至らしめてしまっているように思える点です。

 警察官が発砲した時点では,警察官の発砲行為は違法とはいえなかったと思われますが,その前の段階でなんとかできなかったのかなぁ,という思いは残ります。

 ただ,普段から警察官が権力を振りかざすのも問題ですし,緊迫した場面において,警察官に常に正確無比な判断を求めるのも酷なようにも思います。

 亡くなった方やその遺族は多大な苦痛を伴っていることは想像に難くありません。また,警察官自身も人を死に至らしめたという事実は今後の人生に重くのしかかっていくでしょう。そして,周りにいた無関係の人に拳銃の弾があたる可能性も否定できません。警察官が拳銃を使用するたびにその適法性が問題とされるのもいかがなものかと思います。

 拳銃は相手方を殺傷するには有効な武器ではあるが,相手方を殺傷せずに制圧するのには不向きな武器であるように思えます。

 一般的に警察官が所持する武器としては,拳銃以外のものにしてしまった方がよいのではないかと思っています。

 




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