全国発リーガルジャパン弁護士ブログ

「注射器肝炎」?

Posted : 2012/03/02

札幌事務所の猪原です。

「注射器肝炎」って知っていますか?

 

1 札幌から自動車で1時間ほど走ったところに,北海道夕張郡由仁町三川という地域があります。この地域では,とある開業医の先生が,昭和20年代から昭和50年代にかけて,消毒が不十分な注射器を使用して静脈注射を行ったことが原因となり,C型肝炎感染者が異常な数で発生しています。

 

2 C型肝炎感染者は,全国で200万人から240万人ほどいると言われています。感染原因は,いくつかあります。

フィブリノゲン製剤の投与による薬害。これついてはすでに特措法ができていますが,この特措法ではカルテがない限り,ほぼ救済されません。C型肝炎に罹患したと判明するのは,通常感染原因となる行為から20年以上も後の話です。カルテなんてあるはずがありません。そのため,ほとんどの方が救済されないという現実があり,現在,東京,新潟,大阪,広島,鹿児島など全国でカルテのない薬害C型肝炎被害者救済訴訟が進められています。ここ北海道においても道内各地の方が原告となり,平成24年3月22日,いよいよ第1回口頭弁論が開かれスタートするところです。私は「カルテのない薬害C型肝炎訴訟北海道弁護団」に参加しています。

輸血。第二次大戦後,売血の制度があり,汚染された血液の輸血により,感染した割合も多いと言われています。

そして,その他に実は多いと言われているのが,この注射器肝炎です。この由仁町三川以外にも,岡山県,静岡県興津,茨城県猿島,三重県,北九州など全国の様々な地域において,「流行性肝炎」感染者の異常発生が記録されています。1989年にC型肝炎が発見されるまでは,「流行性肝炎」あるいは「非A非B型肝炎」と言われていました。

最近ニュースで話題になっていたB型肝炎とC型肝炎は似たようなもんだろうと思っていたら,B型肝炎は母子感染,予防接種による感染が起こりますが,C型肝炎の場合母子感染はほぼない,予防接種では感染しないそうです。予防接種は皮下注射であり静脈注射とは異なるからだそうです。

 

4 注射器は100度以上の熱湯に15分入れて煮沸消毒することによって,滅菌されるそうです。しかしながら,この医師は,ぬるい湯でチャチャッとゆすぐ程度の消毒しかしていませんでした。ときには湯呑みで洗っていたそうです。患者の中には,前の人の血が注射器の中に残っているのを見たことがあるという方もいました。感染すると,インターフェロンという治療をすることになりますが,これが大変辛い治療のようです。

 

5 札幌事務所の浦本与史学,柴田良,私は,この由仁町三川注射器肝炎訴訟弁護団(弁護団総勢15名)に参加し積極的に取り組んでいます。昨年11月12月にかけて,札幌から何度も三川に足を運び,患者のみなさんから直接聞き取りを重ねてきました。本人だけでなく,父ちゃんも,母ちゃんも,亡きばあちゃんも,亡きじいちゃんもC型に感染しているといった家族もありました。料理を作る仕事をしていた方は,ウツるんではないかと根拠もない差別を受けてきたそうです。インターフェロン治療は副作用が強くうつ病で自殺された方もいるそうです。にもかかわらず,町長は住民の被害救済どころか,変な風評が立つから疫学調査結果などは公表するしてくれるなと住民の方々やマスコミに言ってくる始末です。

医師はすでに亡くなっています。そのため,国を相手とした国家賠償請求訴訟です。慰謝料や治療費の助成などを求めていきます。薬事法,医師法など国の規制権限等の不作為をなんとか捉えるべく,あれやこれや法律構成を検討してきました。訴訟のための諸々の書類集めも整いつつあります。現地のみなさんにも頑張っていただき,とりあえず原告は約100名を超えました。そして,再来週の平成24年3月15日,いよいよ札幌地方裁判所に提訴するときが迫ってきました。

そんな矢先,原告予定の方が亡くなったとの訃報の連絡が原告団から入りました。昨年12月にも私が直接聞き取りさせていただいた方が亡くなりました。いつ我が身に降りかからないとも言えない不安を抱えながらも,原告団のみなさんは戦いをスタートさせます。

もしも医師がきちんと注射を打っていたら,いまこんなに苦しまなくてすみ,どういう人生を送れたのだろうか。原告のみなさんの気持ちです。なんとか原告のみなさんを救済する一助となれるよう,札幌事務所をあげて今後も取り組んでいくつもりです。

参考 → http://www.htb.co.jp/telemen/c.html




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