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被害者参加制度×世論×法教育

Posted : 2012/03/01

東京事務所の加藤です。

 

少し前ですが,光市母子殺害事件が確定し,本ブログでも鳥居弁護士がそのことについて記載させていただいております(2月20日付「13年という歳月」)。

同記事でも触れられている通り,この事件は日本の刑事訴訟に非常に大きな影響を与え,本村氏の多大なる犠牲と活動によって,「欧米から20年遅れている」と言われていた日本の被害者援助制度の整備がなされました。

 

私は弁護士を志した当時,刑事弁護活動を主として行っていきたいと思っていたため大学やロースクールでは刑事訴訟法や捜査法等のカリキュラムを多く履修しておりました。

光市の事件が起きたのは私が学生になる前ですが,ちょうど大学生のころに,いわゆる被害者参加制度が開始され,被害者が公判に参加し,被告人に質問し,また意見を陳述する機会を得ることが可能となりました。

この制度が整備されたことが,光市の事件の刑事訴訟法に対する最も大きな影響であったといえるかと思います。

 

しかし,この制度,個人的にはあまりに拙速に整備されてしまったという感が否めませんでした。

犯罪被害者の方の支援活動を行うあすの会の積極的な活動もあり,犯罪被害者支援が刑事訴訟の場で余りにも軽んじられている,という世論が強くなり,その世論に後押しされる形で上記各法律が制定されました。

しかし,当時の法制審の報告等をみても,犯罪被害者の刑事訴訟法における位置づけや被告人の権利との関係についてはほとんど議論されていないように見受けられます。

そのため,被害者参加制度は一部の学者からは世論に流されて制定された理論的根拠のない制度として一時批判の対象となってしまっておりました。

 

結果として,現在の被害者参加制度が被告人の権利を侵害していたり,当初懸念されていた感情的な裁判となるといったようなことは生じていないので,現行の制度を批判するものではありませんが,イギリスでは断じて採用しない制度といわれていた被害者陳述制度があっさりと制定された過程にはやはり疑問が残ります。

 

まして,そこには世論の強い影響が見て取れます。

 

国民の意見を軽視するわけではありませんが,マスコミの扇動により感情的に世論が形成されてしまったとき,その世論をどのように評価すべきかというのは大きな問題であると個人的には思っております。

日本は法教育が乏しく,国民の人権に対する正しい知識,感覚が身につきづらい状態にあります。

その国民から形成される世論,特に,一定のバイアスのかかった中で形成された世論は必ずしも正しいとは言い切れないように思われます。

光市の事件について言えば,被害者の権利と被告人の権利をどのように調整するのか,少なくとも,刑事訴訟は本来的には被告人の権利を保護するための手続きであることを理解した上で被害者参加制度が唱えられていたのかには疑問が残ります。

世論を前提として,法制審や国会でしっかりとした議論が行われれば問題がないかもしれませんが,法教育を充実させ,国民一人一人が適切な人権感覚を持った上で議論が重ねられていく方が法治国家として適切であることは言うまでもないと思います。

 

そのため,小学校において,「国語・算数・理科・社会・法律」と並び学ばれるようになるべきとも思います。

 

・・・英語に先んじて法律が主要科目となれるかは,分かりませんが。

 




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